概要

X(旧Twitter)の「For You」フィードのおすすめアルゴリズムは、フォロー中のユーザー投稿フォロー外の投稿を組み合わせて取得し、それらを Grok と呼ばれる大規模 Transformer モデルによってランキングしています。

このアルゴリズムはユーザーの過去のエンゲージメント(「いいね」「リプライ」「リポスト」など)履歴を学習し、各投稿に対するユーザーの反応確率を予測します。そして予測された複数の行動の確率に重み付けを行い総合スコアを算出、そのスコアに基づき投稿が並べ替えられます。従来のような手動調整の多数のルールは排除され、Grok ベースの AI モデルがほぼすべての関連度判断を担っている点が特徴です。

アルゴリズムの狙いは、膨大なツイートの中から「ユーザーが興味を持ち、反応しそうな投稿」を選び出し、タイムライン上部に表示することです。ユーザーにとっては、自分がフォローしていないアカウントからでも関心を引くコンテンツが推薦され、逆に不快に感じるコンテンツやスパムは除外されます。

以下、このアルゴリズムの処理フローと評価シグナルの詳細、およびそれを踏まえたリーチ拡大のための具体的戦略について解説します。


目次


図で解説

X(旧Twitter)アルゴリズムの仕組みとリーチ拡大戦略

アルゴリズムの処理フロー

Xのフィード推薦アルゴリズムは ホームミキサー(Home Mixer) と呼ばれるオーケストレーション層で実行され、投稿候補の収集からスコアリング・選別まで一連のパイプライン処理を行います。全体の流れは次のようなステップで構成されています。

1. ユーザー情報の取得(Query Hydration)

リクエストしたユーザーの直近のエンゲージメント履歴(いいね、リプライ、シェア等の行動シーケンス)やユーザー属性(フォロー関係、設定情報など)を取得します。
このユーザー文脈データが、後続の推薦処理の土台となります。

2. 投稿候補の収集(Candidate Sourcing)

ユーザーに提示する投稿の候補を 2つのソースから大量に集めます。

2-1. Thunder(インネットワーク候補)

ユーザーがフォローしているアカウントから、最近投稿されたツイートを取得します。Thunder は Kafka からの投稿作成イベントを取り込み、各ユーザーについて新規投稿やリプライ・リポスト、動画付き投稿などをリアルタイムで蓄積するメモリ内ストアで、フォロー中ユーザーの新規投稿を高速に検索できるようにしています。

2-2. Phoenix Retrieval(アウトネットワーク候補)

フォロー外のグローバルな投稿全体から、機械学習に基づき関連性の高いツイートを発見します。Phoenix の Two-Tower モデルでは、ユーザーの特徴とエンゲージメント履歴からユーザー埋め込みを計算し、別途全ツイートを埋め込みベクトルに変換しておき、内積の類似度計算で上位の関連投稿を検索します。

これにより、

  • 「ユーザーと興味が近い他者が反応した投稿」
  • 「内容的に類似した興味分野の投稿」

が候補としてリコメンドされる仕組みです。

3. 候補投稿の付加情報取得(Candidate Hydration)

集められた投稿候補一つ一つについて追加データを取得・付与します。具体例:

  • 投稿の本文やメディア情報(リンクや画像・動画、本文テキスト)などのコアデータ
  • 投稿者のプロフィール情報(ユーザー名、認証バッジの有無など)
  • 動画の長さ(動画投稿の場合)
  • サブスクライブ限定投稿か否か

この段階で必要なメタデータが揃うことで、後続のフィルタやモデルが正確に評価を行えるようになります。

4. 表示不適合な候補のフィルタリング(Pre-Scoring Filters)

スコア計算を行う前に、事前に除外すべき投稿候補を取り除きます。典型的には以下のような投稿が排除対象です。

  • 重複:重複した投稿IDや、同じ内容のリポストなど
  • 古すぎる投稿:あらかじめ定めた期間より古いツイートは除外
  • 本人の投稿:ビューア(フィードを閲覧しているユーザー)自身の投稿はおすすめしない
  • ブロック/ミュートしたユーザーの投稿ミュートキーワードを含む投稿
  • 閲覧済み/直近に表示済みの投稿:ユーザーが既に見た、または同一セッション中に供給済みのツイートは重複表示しない
  • 購読限定コンテンツ:投稿が有料サブスクライバー限定公開でユーザーが未購読の場合は表示不可

以上のフィルタで弾かれた候補は、この時点で完全に除去され、以降のランキング計算には回りません。

5. スコアリング(Scoring & Ranking)

残った候補に対し、複数段階のスコアリング処理を行います。

5-1. GrokベースTransformerによる行動確率推定

まず Phoenix の Grok ベース Transformer モデルで各候補ツイートについてユーザーが各種行動を起こす確率を推定します。ここで言う「行動」とは、例えば以下のように多岐にわたります(合計 19種類)。

  • ポジティブ例:

    • 「いいねする確率」
    • 「リプライする確率」
    • 「リポスト(RT)する確率」
    • 「リンクをクリックする確率」
    • 「投稿者をフォローする確率」
  • ネガティブ例:

    • 「閲覧直後に『興味ない』を押す確率」
    • 「投稿者をブロック/ミュートする確率」
    • 「報告する確率」

モデルはユーザーの文脈(最近何にいいねしたか、どんな投稿を読んだかなど)と各候補の内容を同時に入力し、それぞれの候補ごとに他候補とは独立したスコアを推定します(候補同士が互いに影響し合わないようアテンションのマスキングを実施)。

5-2. Weighted Scorer による総合スコア化

次に Weighted Scorer でこれら複数の行動確率に重み付けを施し、一つの総合スコアに合成します。例えば、

  • 「いいね」の確率には 正の重み
  • 「ブロック」の確率には 負の重み

を与えて加算するといった具合です。

5-3. 投稿者多様性の調整

さらに投稿者多様性スコアラーで、同一投稿者から複数の投稿が上位に並び過ぎないよう、同一作者の候補スコアを逓減させる調整(1人目の投稿は100%のスコア、2つ目は減衰、3つ目さらに減衰…という指数減衰ペナルティ)を適用します。

5-4. フォロー外投稿(OON)への減衰

補足的に、フォロー外(アウトネットワーク)の投稿にはスコア減衰係数を掛ける処理も行われます。これらにより最終的なランキングスコアが各候補に算出されます。

6. 候補の選別(Selection)

スコアが出揃った候補をスコア順で並べ替え、上位の K件(例:上位1500件) を選抜します。
このK件がユーザーのフィードに送り出される候補の集合となります。

  • 上位=ユーザーに関連性が高いと判断された投稿
  • 下位=関連性が低いか嫌われる可能性が高い投稿(淘汰)

7. 投稿配信前の最終フィルタ(Post-Selection Filtering)

最後に、選抜された投稿群に対して可視性フィルタなどの最終的な除外処理が走ります。例:

  • 既に削除された投稿
  • スパムや暴力・過激な内容と判定された投稿
  • ユーザー設定で非表示にすべき成人向け内容
  • 会話スレッドにおける重複表示(同じ会話から複数ツイートがランクインした場合の調整)

こうした Trust & Safety 上のフィルタを通過したものだけが、最終的にユーザーのフィードに表示されます。


以上のパイプラインは高速に(全体で数百ミリ秒程度と推測されます)実行され、ユーザーがアプリを開いた際にパーソナライズされた新鮮な投稿一覧を生成しています。
なおアルゴリズムの設計上、手動のレコメンドルールや複雑な例外処理を極力排し、Transformerモデルによる学習済みの判断とシンプルなフィルタロジックに統一している点が強調されています。


ランキングにおける主要な評価シグナル

次に、このアルゴリズムが投稿のスコアを決定する際に重視しているシグナル(評価要因)について整理します。アルゴリズム内部では明示的なルールは少なく学習モデルの判断に委ねられていますが、公開されたコードやドキュメントから、以下のような主要シグナルが判明しています。

1. エンゲージメント(ユーザー行動)

ユーザーの反応そのものが最大のシグナルです。モデルは各投稿に対するユーザーのあらゆる反応確率を予測し、例えば以下はスコアにプラスに働きます。

  • 「いいね」
  • 「リポスト(Repost)」
  • 「返信」
  • 「引用ツイート」
  • 「プロフィール閲覧」
  • 「リンククリック」
  • 「画像や動画の閲覧(拡大/再生)」
  • 「投稿者フォロー」

一方、以下はマイナス評価としてスコアを押し下げます。

  • 「興味ない」
  • 「ミュート」
  • 「ブロック」
  • 「スパム報告」

重み付けの正確な値(各行動が何ポイント相当か)は公開コード上は定数が省かれて不明ですが、構造としてどの行動が正/負の要因かは明示されています。

例えば「いいね」の基準を1とすると、リポストや長時間の動画視聴などは一桁大きな重みがあると報じられており、単なる「いいね」数だけでなく深いエンゲージメントをもたらす投稿ほどスコアが高くなるよう設計されています(※詳細は後述の戦略部分で紹介します)。

逆に「スパム報告」や「ブロック」は極めて強い負のシグナルで、一度でも一定数報告されるとその投稿の露出はほぼ致命的に下がります。重要なのは、負の行動は直接スコアを差し引くため、たとえ多くの「いいね」を獲得してもそれ以上に「ブロック」「報告」を受ければスコアはマイナスに転じ得るということです。

言い換えれば、

  • 「100件のいいねと5件のブロックなら、50件のいいね・ブロック0件の投稿より低評価になり得る」

のであり、ユーザーに嫌われないことも非常に重要な要素となっています。

2. フォロー関係とネットワーク効果

アルゴリズムはフォロー関係(ソーシャルグラフ)も利用しています。

  • 候補生成段階で、フォロー中ユーザーの新規投稿は必ず取りに行く
    → フォローされている投稿者のコンテンツは基本的に候補となる
  • フォロー外(アウト・オブ・ネットワーク)のコンテンツ
    → 関連性が高い場合に限り Phoenix Retrieval で引き出される
    → ただしランキング時にスコアが一定割合減衰される(OON_WEIGHT_FACTOR

つまり、フォロー中のアカウントによる投稿は本来のスコアで評価されるのに対し、フォロー外から来た投稿は多少スコアが抑えられます。これはフィード内の既知コンテンツと発見的コンテンツのバランスを取るためで、極端に言えば見ず知らずの人の投稿があなたのフォロー中友人の投稿を全て差し置いて上位に来ないようにする安全策です。

そのため、

  • あなたをフォローしているユーザーにはあなたのツイートが届きやすい
  • 逆にフォローしていない多数のユーザーにリーチするには、まず自分のフォロワーからの反応を得てスコアを底上げする必要がある

またアルゴリズムはユーザーや投稿を興味クラスタ(コミュニティ)ごとに embedding 空間で捉えており、共通の興味関心グループ内でフォロー外の投稿も共有されます。ただしクラスタの一貫性も重要で、普段テクノロジー系で活動しているアカウントが急に関係ない話題(例:スポーツなど)を投稿しても、その投稿の内容ベクトルが本人の属するクラスタと合わず「ノイズ」と見なされ、既存フォロワー以外には拡散されにくくなります。

このため、特定のクラスタ(分野)で認知を広げたい場合は、その分野に沿った投稿を続けて一貫したプロファイルを築くことが有利となります。

3. 投稿内容の特徴(テキスト・メディア・リンク)

コンテンツ自体の特徴もアルゴリズムに影響します。

3-1. 画像・動画などのメディア

画像や動画などのメディアはユーザーの関心を引き留める重要な要素で、アルゴリズムは以下も予測・評価しています。

  • 画像がクリック(タップ)されて詳細表示されたか
  • 動画がどの程度再生されたか

例えば投稿に画像が含まれる場合、その画像をユーザーがタップして拡大する行動(写真拡大)もポジティブシグナルの一つです。細部まで見たくなるインフォグラフィックやスクリーンショットなど、拡大閲覧する価値のある画像を付けると評価が上がる可能性があります。

動画については特に重視されており、一定の長さ以上の動画を最後まで視聴させることができれば非常に強い好評価を得ます。コード上も短い動画はスコア対象外(重み0)になる閾値が定められており、閾値を超える長さの動画が最後まで視聴(Quality View)されて初めて高い重みが加わる仕組みです。

逆に言えば数秒のクリップ動画などはアルゴリズム上はポイントを稼げず「もったいない」ため、動画を使うなら一定以上の尺で序盤数秒に強い引きを作り最後まで観てもらう工夫が重要になります。

3-2. テキストの長さ・構成(滞在時間)

本文テキストの長さや構成も影響し、長文スレッド(スレッド投稿)や詳細な解説はユーザーの滞在時間(dwell time)を伸ばしうるためプラスに働きます。

途中で途切れず読み進めてもらうには、

  • 一行目で注意を引く
  • 適度に改行や段落を入れて読みやすくする

ことが有効だとされています。

3-3. 外部リンク(プラットフォーム離脱)

一方、外部へのリンクを含む投稿はアルゴリズム上不利になる傾向があります。プラットフォーム外への誘導(リンククリック)はX上でのユーザー滞在を減らすため、「プラットフォーム離脱」を防ぐ観点でリンク付き投稿はスコアが自動的に引き下げられる処理が入っています。

特に出所不明なクリックベイトやアフィリエイトリンクは大きく評価を下げられるよう設計されており、企業サイトや商品ページへの誘導ばかりの投稿はリーチ拡大において不利です。

なお例外的にニュース記事や学術情報など「権威性の高い外部リンク」はペナルティが緩和されるとの分析もありますが、いずれにせよリンクよりXプラットフォーム内で完結する形の投稿の方が有利なのは明らかです。

4. アカウントの信頼性・評価

投稿内容だけでなく投稿者のアカウント特性も考慮されます。

  • 認証バッジ(有料のプレミアムサブスクリプション)を付与しているアカウントが優遇される
  • コード分析でも認証済みユーザーには未認証ユーザーを上回るベーススコア上限が設定されていることが報告されている

例えば未認証ユーザーの投稿スコアには上限(仮に +55 など)がある一方、認証ユーザーはそれより高い天井値(仮に +100)が適用され、結果として認証ユーザーの投稿の方が大きな伸び代を持つよう調整されているようです。

さらにアカウントの健全度も重要です。過去にスパム判定や多数のブロック・ミュート・報告を受けているアカウントは信頼スコア(Reputation)が低下し、その投稿はそもそも推薦候補に入りにくくなったり、ランク計算でも不利になる可能性があります。

実際、Grokモデルはユーザーが「この投稿者をミュートしそうか」「この投稿を報告しそうか」といった確率も予測しており、その値が高く出る(=投稿者が不快を与えると予測される)投稿は積極的に表示が抑制されます。

言い換えれば、

  • 「興味ない」「ミュート」を多く招くアカウントは、将来的に露出しにくくなる恐れがある
  • 一度「報告」や「ブロック」を受けると、その相手ユーザーのみならず同じコミュニティの他ユーザーにも表示されづらくなる可能性がある

また旧来のTwitterアルゴリズムには TweepCred と呼ばれるページランク風のユーザー権威スコアも存在しており、新アルゴリズムでもその概念が残っているなら、アカウントの古さやフォロワー数・フォロー比率、Botではなく人間らしい利用パターン(モバイルアプリからの利用が多い等)が総合的な信用度として評価され、投稿の初期スコアに差が付く可能性があります。


以上がアルゴリズムに組み込まれている主な評価シグナルです。まとめると、

  • 「ユーザーが関与しやすい質の高いコンテンツ」を
  • 「適切なタイミングと頻度で投稿」し
  • 「コミュニティの興味に合致」させつつ
  • 「ユーザーに不快感を与えない信頼できる発信」をする

ことが、アルゴリズム上高スコアを得る鍵だと言えます。


アルゴリズムに基づくリーチ拡大戦略

以上の仕組みを踏まえ、自分のサービスや商品の認知をX上で効率的に拡大するにはどのような行動を取ればよいでしょうか。ポイントごとに、アルゴリズムの構造に即した戦略を具体的に示します。

1. 質の高いエンゲージメントを獲得するコンテンツ作り

アルゴリズムはエンゲージメント率を何より重視するため、ユーザーから積極的な反応を引き出すコンテンツを目指しましょう。

  • 読者が思わず「いいね」したくなる共感ネタやユーモア
  • 拡散したくなる有益情報の提供
  • 返信(リプライ)を促すための問いかけや、議論を呼ぶ主張

リポストを増やしたい場合、自分をシェアする人が「この投稿を共有したら自分の評価が上がる」と感じられるような知的・有益な内容にすると良いでしょう。

ただし現在のアルゴリズムでは、形式的・機械的なエンゲージメント稼ぎ(いわゆる「釣り投稿」やフォロワー同士で互いにリプライし合うだけのリング)は通用しません。低品質な釣りは 「興味ない」やスルーを招き逆効果となります。

量より質を意識し、ユーザーに価値や強い感情(驚き・笑い・共感など)を提供して自発的なエンゲージメントを得ることが重要です。

また ネガティブな反応を避けることも忘れてはいけません。炎上商法的な「過激な意見で注目を集める」戦略は、一部でバズっても少数の報告やブロックが発生しただけでアルゴリズム的には致命傷となり得ます。ユーザーを不必要に挑発したり不快にさせるリスクのある投稿は避け、ポジティブで建設的な話題づくりを心がけましょう。

2. 投稿直後のエンゲージメントを最大化(初動ブースト)

投稿後の最初の15〜30分の反応が、そのツイートが広範囲に露出できるかどうかを左右します。アルゴリズムは投稿から間もない初動のエンゲージメント速度(Velocity)を重視しており、投稿後すぐに一定以上のいいね・クリック・リプライなどが付かないと、フォロー外ユーザーへの露出(For You 推薦)に乗りにくくなることが分かっています。

したがって投稿のタイミングは、自分のフォロワーがアクティブな時間帯を選び、投稿後数分〜数十分以内に反応が集まる状況を作ることが大切です。

具体的な施策:

  • 投稿直後に社内メンバーや協力者に共有してエンゲージメントを集める
  • 社員アカウントや友人に最初のいいねやリプライをお願いする
  • 関連コミュニティに通知する

最初の10分で勢いを付けてアルゴリズムに「人気上昇中」と認識させるイメージです。

逆に言えば、投稿してしばらく反応が薄いままだとそのツイートは以後どれだけ時間が経っても突如バズることは期待薄です。特にビジネス用途では社内外の協力を仰ぎ、「投稿後即座にある程度の反応をつける」という計画的な拡散を図りましょう。

3. ビジュアルとフォーマットの活用によるユーザー滞在

画像や動画、スレッドといったリッチメディア形式を活用してユーザーの目を留め、投稿上での滞在時間を伸ばしましょう。

  • 魅力的な画像を添付してフィード上で目立たせる

    • ユーザーが画像をタップして詳細表示(写真展開)すればポジティブ評価
    • グラフや図解、漫画風画像など「拡大して見たくなる」要素が有効
  • 動画コンテンツがあるなら積極活用

    • 最後まで再生される動画は高い重み付け
    • 短すぎるクリップより、一定以上の尺+序盤の引きが重要
  • 長文はスレッド化

    • 読みやすい段落構成、適度な改行、番号付けで離脱を防ぐ
    • dwell(スクロール停止)時間が増えて評価が上がりやすい

一方、外部リンクを貼る場合は要注意です。前述の通りアルゴリズムはリンク付き投稿を敬遠するため、

  • リンク先の要約や主要部分を本文内で伝える
  • Notes/Articles 機能や画像に情報を載せる

など、離脱しなくても情報が得られる形の投稿がお勧めです。リンクを使う場合でも、ニュースサイトや論文など信頼性の高い情報源へのリンクに留め、安易なプロモーションリンクやクリックベイト的な文言は避けましょう。

4. 一貫したテーマとコミュニティへの訴求

自社サービスや商品に関連する分野の話題にフォーカスして投稿を続けることも戦略になります。アルゴリズムはユーザーと投稿を興味関心のクラスタで捉えており、特定のトピックで発信を続けるほどそのクラスタ内で影響力が高まると考えられます。

例えばテック系のサービスであれば、日々テクノロジーやスタートアップに関する有益情報・見解を発信し、その分野に興味を持つフォロワーを増やしていくと良いでしょう。そうすることで、あなたのアカウントの埋め込みベクトルが「テッククラスタ」の中心に位置づけられ、新しい投稿もそのクラスタの多数のユーザーにレコメンドされやすくなります。

反対に、普段の専門性と無関係な話題ばかり発信しているとアルゴリズムがどのクラスタに属する内容か判断しづらく、フォロー外への露出機会が限定的になります。ニッチな専門領域でも一貫性があれば、その領域に関心の高い層に確実にリーチできるようになります。

自社の専門分野・業界トピックについて深掘りしたコンテンツを継続的に提供し、「この分野ならこのアカウント」と認識されるポジションを築きましょう。それが結果的にフォロー外ユーザーへの露出増大につながります。

5. 投稿頻度とタイミングの最適化

投稿頻度にも注意が必要です。アルゴリズム上、短時間に大量のツイートを連発する行為はかえってリーチを下げます。同じ投稿者からの複数投稿はフィード多様性の観点で減点される仕組みがあり、1人につき1件目の投稿はスコア100%で評価されても、2件目以降は段階的にスコアが低減されてしまいます。

つまり「投稿すればするほど露出が増える」わけではなく、3つ目、4つ目の投稿は明らかにアルゴリズムに抑制されます。実際、コミュニティ分析によれば1日に10回投稿しても3回目以降の投稿は露出が頭打ちになり投稿量に対するリターンが逓減することが確認されています。

したがって量より質、そして間隔を意識しましょう。

  • 1日にツイートするのは多くても数回までにとどめる
  • 投稿間にある程度の時間を空ける
  • 短時間(数十分〜数時間)に立て続けに投稿しない
  • 1投稿ごとに初動の反応を得てから次の投稿へ移る

頻度が少なすぎるのも望ましくありませんが、仮に話題が多数あっても小出しにすることを心がけてください。こうすることで各投稿が最大限のエンゲージメントを獲得できる時間とスペースを確保でき、結果として総合的なリーチが向上します。

また投稿のタイミングについても先述の通りフォロワーのアクティブ時間帯を狙うのが基本です。地域や業界の生活リズムに合わせて、より多くの人の目に留まりやすい時間帯を選定しましょう。

6. 有意義なコミュニケーション(返信や会話の質の重視)

フォロワーや関心を持ってくれたユーザーとの対話もリーチ拡大には欠かせません。ただし現在のアルゴリズムでは、闇雲に返信を繰り返す戦術(返信しまくれば露出が稼げるという考え)は通用しないとされています。

以前は投稿者が自分の投稿に積極的に返信し続けると「活発なスレッド」と見なされ有利という説もありましたが、2026年のアルゴリズムでは投稿者自身の返信は数より質が問われます。X社プロダクト責任者の発言によれば、「無意味な返信を大量に付けても報酬(収益分配)の対象にならない」設計になっており、低品質なやり取り(絵文字を返すだけ等)は評価されなくなっています。

従って、返信する際も内容に価値を持たせることが重要です。

  • 質問への回答やコメントに対して詳しい解説や追加情報を返信として投稿する
  • 返信自体が他の閲覧者にとっても有益なコンテンツになるようにする

そのような高品質な返信であれば、返信ツリー経由で他ユーザーのタイムラインに表示される可能性も高まります(※誰かの返信が単独でHomeに出るのは、その返信自体が高いエンゲージメント価値を持つ場合です)。

逆に定型的なお礼返信や絵文字だけの反応を大量に返すのは避け、必要な場合でも選択的に価値ある返信をするようにしましょう。コミュニティとの健全な対話を継続することでフォロワーのロイヤリティも高まり、結果的にあなたの投稿全体のエンゲージメント基盤が強化されていきます。

アルゴリズムは単発の小手先テクニックよりも長期的なユーザーとの関係構築に軍配を上げることを念頭に置きましょう。

7. 外部リンクの慎重な扱い

自社サイトや商品の購入ページなど、外部へのリンクを投稿に含めたい場合、その扱いに工夫が必要です。前述したように、アルゴリズムは外部リンク付き投稿を嫌う傾向があります。しかしビジネスではリンクを貼らざるを得ない場面も多いでしょう。

その場合、リンク以外の部分で十分エンゲージメントを稼ぐ工夫をします。

  • リンク先の内容を箇条書きでまとめて本文に書く(リンクを開かなくても価値が伝わる)
  • リンク先のキーポイントについて質問を投げかけ、議論を促してリプライを誘発する

重要なのは、リンククリック以外のポジティブ行動(いいね・リプライ・シェア)が起きる要素を投稿内に用意することです。それにより、たとえリンククリック率自体は低くても他のエンゲージメントでスコアを補完できます。

また可能であればTwitterカードなどでリンク先内容のプレビューを表示させ、リンク先に飛ばずとも視覚的情報が伝わるようにするのも手です。

さらに、リンクの種類にも気を配りましょう。

  • ニュース記事や研究報告へのリンク:有益情報として受け止められやすい
  • 広告臭の強いプロモーションリンクや不審な短縮URL:
    ユーザーから敬遠され「興味ない」やスパム報告を招きかねない

リンクを貼る際は権威あるドメインやユーザーの信頼を損なわない内容かを確認し、必要に応じてURLを明示するなど透明性を高めてください。

最後に、一つの投稿に複数のリンクを詰め込むことも避け、伝えたい内容ごとに投稿を分ける方が良いでしょう。それにより各投稿の焦点が定まり、エンゲージメントも得やすくなります。

8. アカウント信頼度の向上

アルゴリズムはアカウント自体の信頼性も見ています。リーチ拡大にはアカウントの健全度を保ち、可能なら強化する施策も考えましょう。

  1. 可能であれば Xプレミアム(認証済み) に加入し公式バッジを取得する
    前述の通り、認証アカウントは非認証に比べ初期スコアの上限値が高く優遇されます。競合他社や他の発信者が認証バッジを持っている中で自社アカウントだけ未認証だと、同じ内容でも相対的に不利になり得ます。投資対効果としても月数ドル程度でリーチ機会が拡大するなら検討する価値は大きいでしょう。
  2. ネガティブフィードバックを最小化する
    もし炎上やクレームで多数のブロック・報告を受けた経歴がある場合、アルゴリズム上そのアカウントの信用スコアは低下しています。今後はそうした事態を避けるのはもちろん、時間をかけてポジティブな実績を積むことで信頼を回復していく必要があります。具体的には、有益で好意的な反応を得られる投稿を重ねることで、ユーザーからのミュートやスパム判定を減らし、モデルの予測上でも「この投稿者は大丈夫だ」という結果が出るようにしていきます。
  3. 人間らしい振る舞いを意識する
    過度に自動投稿ばかりしているとBot的な挙動とみなされユーザーから敬遠されることがあります。できるだけ人間が対話している雰囲気を出し(例えばモバイルからリアルタイムに投稿・返信する、個性ある口調で話す等)、機械的・スパム的と見なされないようにしましょう。

またアカウントのプロフィール情報や過去ツイート内容も、フォローするか判断する材料としてユーザーに見られます。適切に整備されたプロフィールや、一貫したテーマでの良質な投稿履歴は、新規フォロワー獲得と既存フォロワーのエンゲージメント維持に繋がり、ひいてはアルゴリズムからの評価も向上します。

総じて、「信頼できる発信源」であるとの評価をコミュニティとアルゴリズム双方から得ることが、長期的なリーチ拡大の土台となります。


まとめ

以上の戦略を実践することで、Xのアルゴリズムが求める 「質と速度と適切さ」 を満たす投稿者になることができます。

アルゴリズムは高度化していますが、裏を返せば「ユーザーの関心を引き、離れさせず、嫌がられないコンテンツ」を出し続ければ自然と評価される設計です。テクニックと同時にユーザー理解・コミュニティ理解を深め、アルゴリズムと協調しながら自社の情報発信を最適化していきましょう。そうすれば結果として多くのユーザーの目に留まり、効率的にサービスや商品の認知度を高めていくことができるはずです。


参考資料

本レポートはX社が公開したオープンソースのアルゴリズムコードおよび有志による分析記事に基づいて作成しました。今後アルゴリズムは改良に伴い更新される可能性があり、公式リポジトリの変更やX社の発表にも引き続き注目することが重要です。


情報源